「家が欲しい!」と思ったら、何から始めるのがいいのでしょうか?家は超高額だし、何度も買うものじゃないから不明なこと多いですよね。
とりあえず自分が家を買えるのかどうか、いくら使っても大丈夫なのか、すごく気になりませんか?
まずは、そこからハッキリさせるのが正解。この記事で「大事なお金の話」と「予算の決め方」について解説するので、参考にしてください。

「家が欲しい!」と思ったらまず確認すべき3つのお金とは?
さっそく「家が欲しい!」と思ったときに確認して欲しい3つのお金について解説します。
あなたの欲しい家が買えるかどうか、チェックしてみてください。
確認して欲しい3つのお金
- 年収
- 頭金
- 預金(貯金)
とくに「年収」が少ないと、住宅ローンが組めない原因になります。融資上限額との関係をしっかり理解しておきましょう。
ではさっそく、解説していきますね。
いくらの家が買える?【年収】と住宅ローン融資上限額の関係
住宅ローンの融資上限額は、ほぼ年収で決まります。(この場合の「年収」は税込み年収であり、手取りではありません)
あなたの年収から、借りられる住宅ローンの上限額を試算しておきましょう。
一例を表にしておきますね。ちなみに「返済期間35年、審査金利4%、返済比率は年収によって変わる」とします。
返済期間35年の場合
年収 | 審査金利 | 返済比率 | 融資上限額 |
---|---|---|---|
200万円 | 4% | 25% | 941万円 |
300万円 | 30% | 1,693万円 | |
400万円 | 35% | 2,634万円 | |
500万円 | 3,293万円 | ||
600万円 | 3,952万円 | ||
700万円 | 4,611万円 | ||
800万円 | 5,269万円 | ||
900万円 | 5,928万円 | ||
1,000万円 | 6,587万円 |
住宅ローンの融資上限額は、審査金利と返済比率を使って計算します。返済比率は「返済負担率」とも言われます。
- 審査金利とは?
- 住宅ローンの審査に使う金利のこと。実際の融資金利(実行金利)より厳しい数字になっている。
- たとえば最近は変動金利型なら1%を切るが、審査金利は3%~4%ぐらいに設定している金融機関が多い。
- 返済比率(返済負担率)とは?
- 年間ローン返済額が、年収に占める割合のこと。年収400万円の人が年間120万円返済しているなら、返済比率は30%。
- この場合の返済額には、住宅ローンだけでなくカーローンやカードローンなど全てのローンを含める。
「審査金利」や「返済比率」は金融機関によって違います。ですから、金融機関が変われば融資上限額も変わります。
審査金利は、3~4%で計算する金融機関が多いです。中には、融資金利(実行金利)なみに低い審査金利を使う金融機関もあります。
ポイント
融資上限額はまず金利4%で計算してみて、予算を立てることをオススメします。4%以下の金利で計算するなら、背伸びした借入であることを認識しておきましょう。
なお、住宅ローンはカーローンや教育ローンなどの借金がある人でも借りられます。逆に、借金がなくても無職(無収入)や低所得では借り入れが難しくなります。
収入があっても、多重債務や延滞歴がある方は審査がとおりにくいです。
家が欲しいけど【頭金】はどれぐらい必要なの?
年収に次いで気になるのが「頭金」ですよね?よく「頭金が物件価格の2割ないと、住宅ローンが借りられない」と耳にしたり。
じつはこれは間違いで、頭金がいっさい無くても住宅ローンは借りられます。ただし、以下の2点には注意が必要です。
- 返済比率(返済負担率)が上がる
- 優遇金利が受けられないケースもある
借入額が増えるほど、月々の返済額も増えます。月々の返済額が増えると、返済比率(返済負担率)が上がります。
返済比率が上がると住宅ローンの破たん率も上がるので、注意が必要。三井住友トラスト基礎研究所のレポートには、以下のような考察が書かれています。
返済負担率25%を境にして、住宅ローンのデフォルト率は2倍近く上昇する傾向
ようするに「年収の4分の1以上を借金返済に使ってる人は、4分の1未満の人に比べ破たん率が2倍」ということ。

それから、頭金の割合に応じて金利を下げてくれる金融機関もあります。たとえば「購入する物件価格に対して90%未満の借入なら-0.05%」といった優遇があります。
住宅ローンは借入期間が長く高額なので、わずかな金利差でも返済額が大きく変わります。できるだけ頭金を準備することで、利息を大きく減らせるのです。
家は頭金を貯めてから買う方がいいのか?
さきほど「できるだけ頭金を準備することで、利息を大きく減らせる」と書きました。では、頭金がない人は貯めてから買うほうがいいのでしょうか?
じつは、必ずしも「頭金を貯めてから買った方がいい」とは言えません。頭金ゼロで今すぐ買った方がいいケースもあるのです。

頭金を貯めると借入額が少なくなり、利息を押さえられます。その反面、貯金してる期間の住居費がかかります。
どちらがお得か、シミュレーションしたらすぐわかります。家賃を払ってる方は、銀行や住宅会社で相談することをオススメします。
何年もかけて頭金を貯めることで、他にも以下のようなリスクが出てきます。
- 借入年数が短くなる
- 金利が上昇するかもしれない
住宅ローンには「完済時年齢」の制限があり、80歳ぐらいまでに完済する必要があります。「定年退職するまでに完済したい」という方も多いでしょう。
つまり頭金を貯めるのに何年もかかると、それだけ借入期間が短くなるのです。その結果、融資上限額が減ったり月々の返済額が上るといった悪影響も出てきます。
(完済時年齢は、金融機関によって違います)

さらに、空前の低金利が続いているので、今後は上がる可能性も否定できません。これから頭金を貯めようとしてる方は、総合的に判断しましょう。
家を買うなら【預貯金】はどれぐらい必要なの?
家は「頭金なしのフルローン」で買えることを解説しました。では、預金(貯金)はどれぐらい必要なのでしょうか?
預貯金は「当面の生活費+諸費用代」ぐらいあるのが理想です。
家を買おうと思うと、けっこうな諸費用がかかります。例をあげてみましょう。
諸費用の例
- 仲介手数料
- 登記費用
- 火災保険・地震保険
- 外構(エクステリア)工事
- 引っ越し代
じつは、諸費用も住宅ローンに組み込んで貸してくれる金融機関があります。ですが、安易に諸費用分まで借りてしまうのはよくありません。
諸費用分の借入は、いわば「担保割れ(オーバーローン)」の状態です。
- 「担保割れ」とは?
- 不動産(家や土地)の価値が、住宅ローンの残債額を下回ってる状態。不動産を売った代金だけでは、住宅ローンを完済できない。
- ちなみに、住宅ローンを完済していない不動産は売ることができない。(債権者が売却を認めない)
さらに、担保割れの住宅ローンを組む場合は以下の問題も出てきます。
- 審査が厳しくなる
- 金利が上がる
担保割れは、銀行にとってリスクを伴う融資になります。リスクの分だけ金利を上げられ厳しい審査をされても、文句は言えません。
ですから、諸費用に関してはできるだけ預貯金から出すことをオススメします。
家?マンション?新築?中古?マイホームは柔軟に考えよう
マイホームの購入を検討し始めると、よく「予算が足りない」という事態になります。そんなとき、無理して身の丈に合わないローンを組むのは避けたいところ。
せっかくマイホームを手に入れても、生活が苦しくなるようでは意味がありません。旅行に行けない、車を買えない、夢をあきらめないといけない……そんなの嫌ですよね。
そんなときは「住まいの形態」について柔軟に考えてみましょう。予算を下げることができるかもしれません。
住まいの形態は6つある
マイホームを買うときの選択肢は、ざっくり6つあります。
まず一戸建てにするか、マンションにするか。一戸建てなら、建売住宅にするか注文住宅にするか。
さらに、それぞれ新築と中古があります。
住まいの形態は、それぞれメリットとデメリットがあります。絶対的に優れているものも絶対的に劣っているものも、ありません。
「注文住宅以外、考えられない」のように固執せず、全部見て比較してみましょう。きっと、思いもよらなかった発見がありますよ。
たとえば、新築をやめて中古のリフォームにするとか。思ってたよりオシャレなものが、思ってたより低予算でできるかもしれません。

なお、よく以下のことを勘違いしてる方がおられます。いちおう、解説しておきますね。
よくある間違い
- 一戸建ての方がリフォームの自由度が高い
- 一戸建ては修繕積立金が強制徴収されないので良い
まず、リフォームの自由度が高いのはラーメン構造のマンションです。一戸建ては柱や階段の位置、壊せない壁の位置などの制約があります。
それから、修繕積立金は一戸建てでも必要です。むしろ強制徴収されないぶん、一戸建ての方が計画的な積み立てが必要です。
住戸数が多いマンションであれば、修繕積立金や管理費が安くなります。管理組合の役員が回ってくるのも、数年から十数年に一度なのでラクです。

夫婦どちらかだけがマイホーム購入に積極的な場合も、いろんな住まいを見るといいです。
とくに夫が予算の関係で消極的なときは、マンションリノベーションを見せるのが効果的。かなりオシャレなことが低予算で実現できるので、乗ってくるかもしれません。
「Casa BRUTUS」などの雑誌を見てみるのもいいですよ。
住まいの形態による価格帯の違い
住まいの形態は、ざっくり6つあると説明しました。では、それぞれの価格はどれぐらい違うのでしょうか?
参考として「平成29年度 住宅市場動向調査報告書」から平均購入資金を抜き出してみます。
平均購入資金
新築注文住宅 | 4,334万円 |
---|---|
新築建売住宅(分譲住宅) | 3,840万円 |
新築分譲マンション | 4,192万円 |
中古戸建住宅 | 2,857万円 |
中古マンション | 2,393万円 |
リフォーム | 231万円 |
それぞれ延べ床面積がわからないので、いちがいに比べられません。でも、参考にはなると思います。
なんと、新築注文住宅と中古マンションでは2,000万円ぐらい差があります。中古マンションを買って1,000万円かけてフルリノベーションしても、まだ1,000万円安い。
住宅取得資金で1,000万円節約できたら、その後の人生変わりますよ。いろいろ見てみる価値があると、思いませんか?
住宅購入費最大の節約方法
もう少し「節約ネタ」をお話しますね。
住宅購入予算を下げる一番効果的な方法は、坪数を減らすことです。延べ床面積が小さい物件の方が、ウン十万円安く買うことができます。
たとえば新築の注文住宅であれば、坪単価40万円~70万円ぐらいします。つまり、1坪減らせば40万円~70万円も予算を削れるわけです。

でも「マイホームを小さくする」なんて夢も希望もない方法ですよね。
そこでオススメなのが「住宅ローンを低金利で借りる」です。金利が0.1%下がれば、1坪減らすのと同じぐらいの効果があるんですよ。
3,000万円を35年返済で借りたときを例に、総返済額を計算してみましょう。
- 金利1.0%のとき
- 月々の返済額:85,685円
総返済額:35,567,804円
- 金利0.9%のとき
- 月々の返済額:83,294円
総返済額:34,983,630円
金利がわずか0.1%低いだけで、総返済額は58万円以上減りました。
住宅ローンは、複数の金融機関で審査してもらい金利が低いところを選ぶこと。できることなら交渉して少しでも金利を下げてもらうことが、大切ですね。
年収も貯金も少ない人が家を買っても大丈夫か確認する方法
銀行の審査金利が実行金利より高いのは、理由があります。その金利で融資額を決めれば、破たんすることなく完済してもらえると考えてるからです。
ですから審査に通ったなら「完済できる借入額」と考えてよいということです。

たしかに、銀行はあなたの人生設計や完済後の生活まで考慮してくれません。
完済できたはいいけど車が買えず、旅行にも行けず、子供の教育費も抑えないといけなかった……それでは本末転倒です。
それに、住宅ローンが破たんした人だってゼロではありません。
統計では、毎年ほんのわずか(50人に1人ぐらい)ですが住宅ローン返済が滞ったり破たんする人がいます。そうならないように、身の丈に合わない借入は控えましょう。
では、どうすれば豊かな暮らしができる住宅購入予算を組めるのか?
おすすめは、ライフプランニングという方法で家計を見える化することです。
将来の家計の赤字を見える化する「ライフプランニング」とは?
ライフプランとは、人生設計のことです。おもに、金銭面からの生活設計を指します。
ライフプランニングでは、あなたの人生設計に合わせた支出をみていきます。それをふまえ将来の家計がどうなっていくか図示して、見える化します。
そして、まんがいち赤字になるようなら改善策まで練っていきます。
ライフプランニングすれば、あなたの人生設計をもとにした住宅購入予算がわかります。
大金を借りても大丈夫か心配な方は、ぜひ一度試してみてください。安心して、家が買えますよ。

ライフプランニングは、ファイナンシャルプランナーに頼めばやってくれます。住宅会社でも、実施してるところがあります。
家を買うとき最初にオープンハウスや住宅展示場へ行くのはNG
家を購入するとき、最初から危ない選択をする人がたくさんいます。
まず最初に気を付けていただきたいこと。それは、いきなりオープンハウスや住宅展示場に行ってはいけないということです。
それをする前に、必ずやるべきことがあります。
住宅展示場に行く前にすること
- ライフプランニングく
- 予算を決めておく
- いつまでに欲しいか考えておく
想像してみてください。これは、たとえば車の購入なら普通にやってることだと思います。
次の乗り換えまでの10年間どんなライフプランで過ごし、どんな車が欲しいか?いつまでに欲しいか?いくらまでなら月々ローン返済できるか?
そういうことをちゃんと考えながらショールームに行きますよね。
ポイント
家を買うときも同じです。どんな家で暮らしたいか?いつまでに欲しいか?予算はいくらか?それをちゃんと考えてから、先に進みましょう。
そうすれば自分に合わない家を見に行かないし、営業マンの口車に乗ることもありません。
ですから、家を買うときもライフプランを考えしっかり予算を決めるのが先です。そのあと、オープンハウスや住宅展示場に行っていただきたいと思います。
ちゃんとした住宅購入予算の決め方
ここまで読んでいただいた方は「予算か……。大事なのはわかるけど、なんだか面倒くさそう」と思われたかもしれませんね。

できれば、予算は自分で計算しない方がいいです。ちゃんと、お金の使い方をアドバイスしてくれるプロに頼むのです。
ポイント
住宅購入の予算決めは(不動産屋や銀行と利害関係がない、あなたの味方になって仕事をしてくれる)その道のプロに頼むのが正解です。
さて、「お金の使い方をアドバイスしてくれるプロ」とは誰のことでしょうか?それは、ファイナンシャルプランナー(略してFP)の資格を持った人たちです。
最近では、お住まいの地域のファイナンシャルプランナーを探せるネットサービスもあります。ご活用ください。

まとめ
「家が欲しい!」と思ったら、まず購入予算から確認していくのが正解です。あなたの予算は、豊かに暮らせる予算になっていますか?
あなたの将来設計に見合った予算であればOKです。でも、ほとんどの人が「あれもしたい、これも欲しい」と夢も予算も膨らみがちです。
そして、将来貯金が赤字になることも知らずに高過ぎる家を買ってしまうのです。で、定年退職前になって初めて後悔することに……。

後悔する前に、ちゃんと将来の家計を「見える化」しておきましょう。重ね重ね言いますが、あなたに合った住宅購入予算を立てることが大切ですよ。