SEOライティングは得体の知れないところがあり、取り組むには不安が大きいですよね。結果も出にくいし「会得する意味ない」とおっしゃる方の気持ちもわかります。
ですが、否定的な意見の中にはSEOの表層しか見てないものも多いんじゃないかと。そんなご意見には、鈴木雅之氏の名曲をヘビロテで聞いていただきたいと言わざるを得ません。
今のSEOライティングは、検索エンジンハックじゃないんです。読者と真摯に向き合うことが求められる、それなりに工夫が凝らされた執筆技法になっています。
今回は、ボクごときが僭越なんですが「SEOライティングの適切なディスり方」をご紹介したいと思います。「SEOライティングとは何なのか」についても解説します。
最後までご覧くださったら、もう「キーワードの詰め込みなんて、クソ」のようなうわべだけの否定ではなく、SEOライターの息の根を止めるぐらいディスれるようになるでしょう。
SEOライティングの欠点
ではさっそく、SEOライティングをディスっていきましょう。
SEOライティングの5つの欠点
SEOライティングには、こんな欠点があります。
SEOライティングの欠点
- 検索トップのサイト意外は存在していないも同然
- 競合との競争が激し過ぎる
- 市場分析に大きなコスト(時間と費用)がかかる
- 長文になりやすく、完読されにくい
- 多くのコンテンツが似たり寄ったりの内容になりやすい
個々の項目の詳細は「SEOライティングとはなにか?」について考えながら、適時解説していきたいと思います。
まずは、SEOライティングは「コンビニのハサミ」になりやすいという話をします。というか、キングコング西野さんのお話を引用させていただきたいと思います。
とても示唆に富んでいるので、ご覧ください。
SEOライティングはコンビニのハサミ
以下、西野さんのブログ(Voicyの書き起こし)の引用です。
たとえば、コンビニの商品を「役に立つもの」と「意味があるもの」で分けて考えてみてください。
「ハサミ」や「ホッチキス」って、「役に立つもの」ですよね?
一方、「タバコ」なんかは「意味があるもの」ですね。「俺は、ガツンとくるタバコが好き」だとか、「僕は、当時、憧れの先輩が吸ってたこのタバコが好き」といった。
次に、「棚に並んでいる種類の数」を見て欲しいのですが、「タバコ」の棚にはたくさんの種類が並んでいるのに対し、「ハサミ」や「ホッチキス」の棚は、それぞれ一種類しか並んでいない。
これは、すなわち、「『役に立つもの』は一つでいい」という結論です。
SEOライティングで作る文章は、この「ハサミ」と同じです。便利ですが、最も役立つコンテンツが1つあればじゅうぶんです。
TOPシェアを取ると大きな売上を出せますが、TOPになれるのは1コンテンツのみ。そのほか数多のサイトがWEBをただよう宇宙ゴミと化します。
これこそ、SEOライティングが多くの脱落者を生む原因。脱落者をイソップ童話に出てくるキツネにしてしまう、なんなら祟り神にしてしまう要因ではないでしょうか。
SEOライティングの欠点
SEOライティングとは?
つづいて、SEOライティングとは何なのか熱弁しながら、SEOライティングをディスっていきましょう。
SEOライティングの目的や最近の傾向をご紹介したあと「長文・短文問題」や「オリジナリティの要・不要問題」についてお話します。
目的は検索エンジンで上位表示させること
そもそも「SEO」とはなんでしょうか。
SEOとは「検索から始まる読者の体験を最良のものにする努力」ではないかと、ボクは思います。
では、SEOライティングとはどんな執筆方法なのでしょうか。
SEOライティングの目的を簡潔に言うと「検索エンジンで上位表示させる」こと。その努力の方向性は、おもに2つあります。
SEOライティングが目指すもの
- 検索エンジンにとってわかりやすい文章
- 読者に満足してもらえる文章
今はもう、②無くして検索エンジンに高評価されることはありません。
文字情報だけでなく、図解やイラストなども駆使して検索者に適切な答えを返すのがSEOライターの使命になってきました。
ポイント
その「情報」の見せ方は文字だけでなく「図解、イラスト、箇条書き、表、地図、動画、マンガ」など多岐にわたる。
それはさて置き、それぞれ詳しくご説明していきましょう。
検索エンジンにとってわかりやすい文章
SEOライティングは、読者だけでなく検索エンジンも意識する必要があります。「お金を出して買う書籍と大きく違うこと」のひとつですね。
「検索エンジンを意識したSEOライティング」の施策例をあげてみましょう。
検索エンジンを意識した例
- タイトルタグ(h1、h2、h3など)は正しい入れ子構造にする
- 画像のalt属性に説明を入れる
- HTMLマークアップで記述形式を伝える
HTMLマークアップの例も、あげておきましょう。
HTMLマークアップの例
- <p>(パラグラフ)
- <blockquote>(引用)
- <ul>や<ol>(箇条書き)
- <img>(写真や図解)
- <table>(表)
本記事のような情報提供型コンテンツは、箇条書きや図解を適切にはさむほうが読みやすくなります。コンテンツが読みやすいと、滞在時間や読了率が向上します。
この結果は検索エンジンも理解可能で、パラグラフしかない文章より、箇条書きや図解もマークアップされた文章のほうが高評価される……なんてこともあり得るのです。
読者に満足してもらえる文章
ここからが、本題です。
ライターにとってのSEOライティングとは「読者に親切で、迷うことなく課題を解決してもらえる文章を書くこと」だと、ボクは思います。
「説明書は人の心を豊かにしない」というご批判もあると思いますが、取説の役割はそこにありません。それは小説家やエッセイストに任せればいいことです。
余談ですが「SEOライティングとは、検索エンジンの攻略法だ」と思ってるSEOライター各位は、もはや自分はSEOの暗黒面に落ちたと悟っていただきたい。
あなたのライトセイバーが赤いなら、今すぐSEOライターを廃業して継続案件を全てボクに譲ってください。きっと、あなたのライトセイバーは白色になるでしょう。
検索エンジンはたくさんの指標を使い、コンテンツが持つ「読者満足度」を評価しようとしています。
指標の代表である「サイト滞在時間・読了率・直帰率」を向上させるには、読者と真正面から向き合うことは避けられません。検索エンジンハックで何とかなる問題ではないのです。
一見「検索エンジンハック」のように見えるSEO施策でも、じつは「読者への親切」であることも。例をあげてみましょう。
- タイトルにキーワードを含める
- アフォーダンスを意識した文章の強調
タイトルにキーワードを含めることは、読者に「あなたの課題と関連性が高い記事です」と知らせる役割があります。
たとえばあなたが「SEOライティング コツ」で検索したとしましょう。以下の2つのタイトルが目にとまったら、どちらの記事を読みたいですか?
- WEBライティングで検索上位を狙うコツ
- SEOライティングで検索上位を狙うコツ
①は「SEOライティングのコツ」について書かれているのかどうか、パッと見でわかりません。
もしそのコンテンツが「SEOライティングのコツ」について書かれているのなら、タイトルは②にすべきです。
文章の強調も、同じです。同じデザインが続く文章より、適切な強調デザインを施した文章のほうが読者に親切ではないでしょうか。
なお、人間はこれまでの経験から特定の色に特定の認識を持ってます。強調デザインはそれに逆らわず、アフォーダンス(パッと見ただけでわかるデザイン)を取り入れるとよいです。
たとえば、ポジティブな協調は青のアンダーライン、ネガティブな強調には赤のアンダーラインなど。直感でわかる表現にすると、読み手に優しいですよね。
SEOライティングは製造業
SEOライティングは製造業に似ていて、メーカーの製品づくりと同じく以下の2つの視点が必要です。
- 売り手(検索エンジン)にとってわかりやすい
- 顧客(読者)が満足できる
メーカーが製品を売るためには、顧客のニーズと向き合わねばなりません。市場の反応を見ながら、製品を改善・洗練させていくことも必要です。
SEOライティングも、同じことが言えます。検索上位に入るためにはニーズと向き合い、読者の反応を見ながら改善していく姿勢が求められます。
さて、ここで周りを見渡していただきたいのですが、マーケットイン型の製品にはこんな弱点がありませんか?
- 競合との競争が超絶激しい
- 市場分析に大きなコストがかかる
つまり、意訳すると「過当競争に巻き込まれやすく、レッドオーシャンで溺れやすい」ということです。SEOライターは、この弱点を受け止めなくてはいけません。
SEOライティングの欠点
トップを取るためには大きなコスト(時間や費用)がかかるので、リソースや工夫がないと不利になる。
ですが、市場の小さな声に耳を傾けコツコツとニーズを拾ったり、並々ならぬ改善を繰り返し顧客満足を上げようと努力したりすることって、蛇足なんでしょうか?やる意味ないんでしょうか?
あなたには、ないでしょうか?エモくないし、バズらないし、アートしてないけど、絶対の信頼を置いている情報源が。愚直なほど読者と向き合う姿勢に共感するブログが。
最近のSEOライティングの傾向
ご存知のとおり、最近の検索エンジンは「E-A-T」がしっかりしているサイトやコンテンツを重視する傾向にあります。
E-A-Tとは?
- Expertise(専門性)
- Authoritativeness(権威性)
- Trustworthiness(信頼性)
「E-A-T」が重視され始めたことで、たしかに良い影響が出ています。検索結果から無責任なサイトが激減したし、企業のオウンドメディアの質量が急激に向上しました。
その結果、十中八九の個人サイトは細々とやるしかなくなりました。プロブロガーやアフィリエイターは、廃業者が続出しているようです。
では、その廃業した人たちはどこへ行くんでしょう。一部はYouTuberかもしれませんが、一部はSEOライターになるんじゃないでしょうか。
長文がいいのか、短文がいいのか
「長文がいいのか、短文がいいのか」これもよく話題に上ります。結論から言うと、ケースバイケースです。
SEOライティングでは、検索ワードに対して「過不足ない」情報を返すのが鉄則です。長文がいいのか、短文がいいのか、それは検索ワードで変わります。
たとえば「2021年 母の日」と検索した方には「5月9日 日曜日」と7文字で返せばOKです。それ以上の情報は要らないし、なんなら強調スニペットでこと足ります。
- 強調スニペットとは?
- ユーザーの検索ワード(検索クエリ)に対して、回答となる情報を検索結果上部に直接表示させる仕組み。
いっぽう「母の日 ガーデニンググッズ おすすめ」で検索した方には、5,000文字ぐらいの情報が要るでしょう。
情報不足で、読者が他のサイトを見に行くようではダメ (不足)。読者が求めていないことを書くのもダメ (過剰)。どちらも、SEOライティングとしては減点です。
「過不足なく書けって言うけど、そもそも書くべきことと書かなくていいことの区別ができない」という方は、こちらをどうぞ。
傾向として、SEOライティングは長文になりやすいです。ですが、長文は読者に優しいとは言えません。なので、二律背反を抱えた状態になっています。
そこで、できるだけ文字数を減らすために情報密度の高い簡潔で明解(明快)な文章が求められています。
seoライティングでは、100文字の説明文を60文字に圧縮できないか推敲する作業が必須です。60文字しかないのに、100文字分の情報量がある文章が望ましいのです。
SEOライティングの欠点
SEOライティングにオリジナリティは必要か
よく、SEOライティングにオリジナリティを持たせるため「体験談を書け」と言われます。でも、それって本当でしょか?
結論から言うと、SEOライティングにオリジナリティは必要です。だけど、それは「個人の体験談や経験談を書け」という意味ではないんじゃないでしょうか。
たしかに「○○ 失敗」のように個人の体験談を探している検索ワードもあります。ですが、大半の検索ワードは個人の体験や経験を載せなくても返答できます。
たとえば「住宅ローン 選び方」で検索したときに「住宅ローンの選び方でミスって自宅が競売にかけられた話」というコンテンツを見つけたとしましょう。
読後、感心しながら「すごい体験だなぁ……おもしろかった!」と満足するかもしれません。だけど、きっとあなたは再度「住宅ローン 選び方」の検索をすることになります。
「住宅ローン 選び方」に返答するコンテンツには、必ず入れるべき情報があります。それを読者に伝えることで、総返済額を何十万円も減らしてあげられるのです。
これこそまさに「YMYL」であって「E-A-Tを持つサイトや人が、書くべき情報を欠かさず網羅する」ことが求められているのです。
- YMYLとは?
- 「Your Money or Your Life」の略。将来の幸福、健康、経済的安定、人々の安全に潜在的に影響を与える記事を指す。YMYLジャンルは、とくに「E-A-T」が重視される。
ただ残念ながら、必要不可欠な情報を網羅したコンテンツはどれも似た内容になります。これは、SEOライティングの欠点のひとつです。
SEOライティングの欠点
SEOライティングは、競合コンテンツとの差別化が難しいです。ですが、差別化できないわけではありません。
SEOライティングでオリジナリティを高める方法を2つご紹介します。
オリジナリティを高める方法
- 読者のインサイトを満たす
- 自分の意見を書く
検索者には、欲求(解決したい課題)があります。この欲求は4段階に深堀できます。
欲求の種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
ニーズ | 解決したい課題 | サッと手軽にお腹を満たしたい |
ウォンツ | 課題を解決できる商品やサービス | ファストフード |
潜在ニーズ | ニーズより深いところにある、言葉にできてない課題 | 食事代を節約したい |
インサイト | ニーズより深いところにある、本人も気づいていない課題 | ひとりでレストランに入りたくない |
オリジナリティを付加するチャンスは、インサイトにあります。ほとんどのコンテンツは、検索者が隠し持つこの欲求を満たせていません。
とある会話を例に、インサイトを満たすことがオリジナリティになることをご説明しましょう。
あなたは同僚から「サッと手軽にランチできるところ知らない?」と聞かれました。あなたなら、なんと答えますか?想像してから読み進めてください。
step
1ウォンツを満たす
ではまず、ウォンツを満たします。読んでいただくと、たぶん「物足りない」とか「根拠は?」と感じるでしょう。
step
2潜在ニーズを満たす
つづいて、潜在ニーズまで満たしましょう。きっと「役立つ情報」と感じてもらえるでしょう。
step
3インサイトを満たす
最後に、インサイトまで満たしてみましょう。ここまでくると「気が利く」感じがします。
読者のインサイトをとらえ的確な情報を載せられたら、きっと読者の行動を促すコンテンツになるでしょう。
とは言え、インサイト探り出すことは、ほとんどの人がやってないだけで誰にでもできます。もう少し、真似できないオリジナリティが欲しいところですよね。
そこでオススメしたいのが、自分の意見を書くことです。書きつくされたテーマであっても、あなた自身の魅力的な意見が載っているなら独創的なコンテンツになり得ます。
意見は、個人の経験・体験・知識にもとづくので、誰も(コピペ以外の方法で)真似できません。積極的に書いていきたいところです。
ただし、浅い意見は読んでもらえません。書きたいことに関する「経験・体験・知識」をしっかり増やしていきましょう。
つまりそれは、あなたが「E-A-T」を蓄えることに他なりません。
【まとめ】SEOライティングとは?
SEOライティングの目的は「検索エンジンで上位表示させる」ことです。検索エンジンに上位表示させるためには、高い読者満足度をサイト滞在時間や読了率などの数字で示す必要があります。
とは言え、読者に完読してもらうのは容易いことではありません。読者の反応を見ながら、コンテンツを磨いていくことも必要でしょう。
さらに、SEOライティングはとてもコストがかかるうえ、競合との競争も激しい。他のコンテンツとの差別化も難しく、突き詰めれば似たり寄ったりの内容になります。
とは言え、むやみにSEOライティングを否定するのは得策ではありません。一度否定すると、もうSEOライティングで執筆できなくなります。
ですから、SEOライターをディスるときはぜひこう伝えてください。「放っておいても絶滅すると思うけど、早く廃業したまえ。君を敵にまわしたくない」