ブログの記事を書くとき、何から書き始めたらいいか悩むことないですか?
書きたいキーワードは決まってるのに、どう展開していったらいいかわからない。気がついたら、けっこうな時間経ってるのにぜんぜん進んでない……みたいな。
ボクもそうだったんですけど、山田ズーニーさんの『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』という本を読んだらいっぱいヒントが書いてありました。
この本には、長年ライティング教育に携わってきた著者がたどり着いた文章のエッセンスが書かれてます。それを基に「書き始めの型」が作れます。
「書き始めの型」があれば、迷わず文章を書き出せます。良い書き始めは、読了率の改善にも一役買います。
この本から学んだブログの書き方について紹介するので、WEBライティングにお役立てください。
【感想】この本を読むとブログ書き始めの型が作れる
山田ズーニーさんの『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』という本を読みました。
この本は、どうすれば読み手に伝わる文章が書けるのか具体例を載せながら書かれています。
具体例は「小論文試験、手紙、メール、自己推薦文、クレーム」などですが、ブロガーやWEBライターにもヒントになる内容です。
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この本を基にブログの書き始めの型を作ったので、さっそくご紹介します。
文章書き始めの型とは?
さて、ブログの文章書き始めにはどんなパートが必要でしょうか?
ちょっと、あげてみましょう。
- アイキャッチ
- タイトル
- リード文
- 本文の書き始め
よくあるブログの書き始めではまずアイキャッチ画像が来て、画像の中に少しテキストが書かれてたりします。
つづいてタイトルが書かれていて、リード(導入文)が続き、ようやく本文の書き始め、といった型が多いでしょうか。
図解にすると、こんな感じです。
で、この「伝わる・揺さぶる! 文章を書く」という本には、上述の4つのパートの書き方のヒントがたくさん書かれてるんです。
ただし日常の文章について書かれた本なので、WEBライティングに特化した解説になってません。ブログに役立てるには、翻訳が必要です。
じゃあ、具体的にはどう翻訳すればいいのか?
- テーマ ⇒ キーワード
- 論点 ⇒ タイトル
- 読む気を引き出す文章 ⇒ リード文
- 意見と論拠 ⇒ 本文の書き始め
「論点、意見、論拠」については、文章の要件として本の中に繰り返し登場します。「テーマ」や「読む気を引き出す文章」も大事なものとして書かれてます。
個別の説明は後述しますが、これがみごとにブログ書き始めの各パートに当てはまるんです。
ちょっと実践してみましょう。
step
1テーマを決める
まず、テーマを決めます。ここは、狙うキーワードがそのまま使えます。
例をあげてみましょう。
キーワードの例
- 「WEBライター」
- 「副業 ライター」
- 「ブログ 書き方」
上述のようなキーワードがこれから書く文章の大枠、つまりテーマになります。
テーマは、アイキャッチ画像の中に書き入れるといいでしょう。
step
2論点を決める
テーマ(狙うキーワード)が決まったら、つづいて論点を決めます。
論点とは「テーマをどういう切り口で書くか」ということ。この本では「疑問形にする」と書かれています。
本にならって、上述の3つのキーワードから論点を考えてみます。
論点の例
- WEBライターがSEOを勉強すべき理由とは?
- なぜ副業ライターが儲からないのか?
- ブログの書き始めはどんな書き方が良いのか?
これは、そのままタイトルに使うことができます。
タイトルは、ターゲット読者に「自分に関係ある話かも」と感じてもらうことが大切です。ターゲットをしっかり想定して、論点(切り口)を考える必要があります。
step
3リード文を考える
論点(タイトル)が決まったら、リード文を考えます。実際の作業では本文を書き終わったあとに修正することが多いので、仮でOKです。
リード文に関しては、第4章の「読む気を引き出す文章の書き方」が参考になります。
リード文を考えるときに役立つ言葉を、本から2つほど抜き出してみましょう。
- 読者との最初のコミュニケーション
- 読む動機を伝える
なるほど、リード文は「最初のコミュニケーション」なんですね。あいさつと同じでとても大事なもの、ということです。
ここで、しっかり「読む動機」を伝えます。少なくとも以下の2つは、リード文に必要でしょう。
- 誰のどんな課題を解決するのか
- 読み終わると、読者にどんないいことがあるのか
タイトルがキャッチコピーであるなら、リード文はタグラインと言えます。読者が離脱するか、読み進めてくれるかの分かれ道です。
- タグラインとは?
- 企業やサービスがどんな価値を提供できるか、顧客が得られるベネフィット(利益・恩恵・便益など)をわかりやすく書いたコピー。
- たとえば、稲葉製作所の「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫」やダイソンの「吸引力の変わらないただ一つの掃除機」など。
ちなみに著者は、本の中で「読む動機」について以下のように書いてます。
1冊の雑誌においても、1つひとつのコーナーにおいても、読み手の動機をどう引き出すかを考えて編集するようにしたところ、1冊を100%読み切る読者の割合が3倍近く増えた。
これは、ブログで言い換えれば「読了率が3倍になった」ということです。すごい。
step
4本文を書き始める
リード文を考えたら、つづいて本文も考えていきます。本文は「意見(結論)+論拠」のセットで作ります。
意見(結論)とは、論点(タイトル)に対する自分なりの答え。論拠は、意見の根拠で読者に納得してもらうために書きます。
この本では「論拠+意見」の順も紹介されてます。ですが、WEBライティングでは「意見+論拠」の順が効果的です。
ポイント
本文が回りくどかったり論点とズレてると、読者は「なんか違う」と感じ読むのをやめてしまいます。まず、意見(結論)から書きましょう。
さて「テーマ、論点、読む気を引き出す文章、意見+論拠」で書き始めの型ができました。
それぞれが、ブログのどのパートに当てはまるか再掲載しておきます。
- 「テーマ」は「キーワード」
- 「論点」は「タイトル」
- 「読む気を引き出す文章」は「リード文」
- 「意見と論拠」は「本文の書き始め」
この4つは、密接に関係し合ってます。なので、キーワードが決まれば他のパートも次々と決められます。
まず、キーワードによって読者(いわゆるペルソナ)が決まります。これは、そのキーワードで実際に検索してみて上位のサイトを見れば想像できます。
読者が決まれば読者の課題がわかるので、それにのっとって論点やリード文を考えることができます。論点が決まれば、意見や論拠も考えられます。
ブログ書き始めの「型」の参考になるサイト
いざ型を作っていくとき、何かモデルになるものが欲しいところ。
NewsPicksというメディアが参考になったので、ご紹介しておきます。
「NewsPicks」の画面には、たくさんのコンテンツが並んで表示されてます。型作りの参考になる記事を探すのに、もってこいです。
たとえば、この記事。アイキャッチにテーマ、タイトルに論点が書かれています。
テーマや論点を見て「自分に関係あるかも」と感じたら、続けて「リード文、意見、論拠」がどんなふうに展開されてるのかチェックします。
こうやって良いところを探し真似ていくと、型をブラッシュアップできます。
型作りに役立つ部分を、ちょっとだけ紹介
この本の内容で、型作りに役立つ部分をちょっとだけご紹介します。
まず、プロローグにこんな文章が書かれています。
あなたにまず必要なのは、天性の表現力でも、センスでもない。書くための要件を自分の頭で考えるための、現実的なちょっとした方法なのだ。
この本には、文章を書くための「7つの要件」が載っています。著者は、その要件を自分で考えて深堀していく「現実的なちょっとした方法」が必要だと言ってます。
この「方法」を会得すると文章の体幹となり、WEBライティングに安定感を与えます。大事なところなので、紹介していきます。
7つの要件
まずは、この本に出てくる文章を書くための7つの要件から。
各要件と概要を、表にしてみます。
7つの要件
意見 | あなたが一番言いたいことは何か? |
---|---|
望む結果 | だれが、どうなることを目指すのか? |
論点 | あなたの問題意識はどこに向かっているか? |
読み手 | 読み手はどんな人か? |
自分の立場 | 相手から見たとき、自分はどんな立場にいるか? |
論拠 | 相手が納得する根拠があるか? |
根本思想 | あなたの根本にある想いは何か? |
上述の要件のうち、ブログの書き始めの型で取り上げた「意見・論点・論拠」についてもう少し解説しますね。
意見とは?
「意見」とは何か、理解を深めるために本から「意見」に言及している言葉をいくつか抜き出してみます。
意見とは?
- 一番言いたいことは何か
- 論点に対する結論(答え)
- 自分が考えてきた「問い」に対する答え
- 「理由」の文章
さらに、著者は自分の考えを「多角的に見る」ことが必要だと言い、具体的に8つの方法をあげてます。
自分の考えを多角的に見る方法
- 自分の体験・見聞を洗い出す
- 必要な基礎知識を調べる
- 具体的事例を見る
- 別の立場から見る
- 海外と比較してみる
- 歴史(背景)を押さえる
- スペシャリストの視点を知る
- 反論してみる
これは、WEBライティングでもかなり役立つ方法ではないでしょうか。とくに自分の意見に自分で「反論」してみるのは、必ずやった方がいいでしょう。
論点とは?
つづいて「論点」も、言及されている箇所を本から抜き出してみます。
論点とは?
- 問題意識がどこに向かっているのか
- 文章をつらぬく問い、問題意識
- 何について書くか
- 自分が取り上げた問題
- 独自の切り口
- どんな問題をどんな角度で扱うのか
- 文章の舵
- 自分が採り上げたい問い
さらに、論点の選定基準も書かれています。
論点の選定基準
- 自分の力量で扱いきれるか
- 自分に切実な動機があるか
- 読み手の要求にかなっているか
- 社会的にみて論じる価値があるか
- いかに読み手が興味ある切り口で書けるか
どうでしょうか、どれもWEBライティングの参考になるものばかりじゃないでしょうか。
論拠とは?
つづいて「論拠」も、言及されている箇所を本から抜き出してみます。
論拠とは?
- 相手が納得する根拠があるか
- 文章の説得力を生むもの
- 意見の理由
論拠については用意するための方法も書かれてるので、いくつか抜き出してみます。
論拠の用意
- 自分側の理由を洗い出す
- 相手側にとってのメリットをあげる
- 相手の反対理由を押さえる
- 説得材料を、見たり聞いたり足を運んで調べる
- 筋道立てて論拠を提示する
なるほど、サービス紹介のライティング経験者はうなずく部分が多いのではないでしょうか。
ところで「筋道立てて論拠を提示する」とは、具体的にどういう筋道を立てたらいいのでしょう?
本には「論拠の論理的な配列」も載ってて、参考になるので抜き出しておきます。
論拠の論理的な配列
- 優先順位の低いもの⇒高いもの
- 具体的な根拠⇒抽象度の高いもの
- 問題の背景⇒現在⇒将来
- 個人的なミクロ視点⇒社会的なマクロ視点
- 賛成と反対の代表意見⇒両者の共通点と差異⇒そこから見える問題点
論拠は読者に納得してもらうための文章であり、ランディングページ(LP)なんかはとくに大事です。
ここも「型」があると迷わずに済みますね。
機能的な文章の最もシンプルな型
先述のとおり、この本では機能的な文章の要件として7つの要素が紹介されてます。でも、全部文章に盛り込めと言ってるわけではありません。
本によると、文章を書くうえで「論点、意見、論拠」の3つが基本となるそうです。
このうち「論点」は省略されることが多いので、もっともシンプルな形は以下のようになります。
文章のもっともシンプルな形
- 意見+論拠
- 論拠+意見
先述のとおり、WEBライティングでは「意見+論拠」がオススメです。書き慣れてない初心者WEBライターさんはとくに、意見(結論)から書くことを意識しましょう。
文章を書く上での制約
文章を書くと言っても、なんでも好き勝手に書いていいわけではありません。
この本では、論点の「制約」として以下の3つをあげてます。
文章を書く上での制約
読み手 | 何を求めているか |
---|---|
テーマ | テーマから大きく逸脱したものは書けない |
自分 | 自分の経験や知識の範囲内で何が書けるか |
この3つが「制約」であるなら、つまりシッカリ押さえておく必要があるということ。制約からはみ出すような文章を書いてはいけない、ということです。
- 読み手が求めてない文章を書かない
- テーマからはずれる文章を書かない
- 自分の経験や知識の範囲を超える文章を書かない
制約からも「テーマから読者像をしっかり押さえること」が大事だとわかります。
それと、よくわからないまま書かず、しっかり調べてから書く姿勢を持たないといけません。
読み手の心を動かすリード文
文章の書き始めでは、読者の「読みたい」気持ちを引き出すことが大切です。
その方法として、この本では「相手の動機を作るところからコミュニケーションを始めればいい」と書かれています。
具体的な、読む気を引き出す文章の書き方は以下のとおり。
はっきりした動機があれば、文章の冒頭に書く。
~中略~
書き出しに、「以下は、あなたが今悩んでいる介護の問題の突破口になるかもしれません。少し長いけど読んでみてください」と置くことだ。
さらに、読者の動機が浮かばない場合の書き方も4つ示されてます。
- 効能を示す
- 相手の切実・身近な話題とリンクさせる
- タイムリーな話題とリンクさせる
- おもしろそうな独特の世界を醸す
なお、WEBライティングであれば「動機」はキーワードから推測できます。そこから「読者(ペルソナ)」と「望む結果」について考えられます。
望む結果とは?
- 読者にどうなってもらいたいのか
- 読後にどんな感想を持ってもらいたいのか
以上をふまえて深堀したうえで、リード文で以下のことを書けばいいでしょう。
- 読み手の悩みに共感
- 何について書かれてるか
- 読むと具体的にどう役立つか
- 読み終わるとどんな良いことがあるのか
リード文で効能(具体的にどう役立つか)を示すことは、大事です。これに関して、著者は以下のように書いてます。
できるだけ遠い未来の抽象的な役立ち方ではなく、今すぐ具体的にどう役立つかが示せると強い。
リード文で読者の読みたい気持ちを引き出せたら、読了率アップが期待できます。手を抜いてはいけないパートです。
書き出しの型を実践してみた結果
さて、できあがった「型」を使ってこの記事を設計してみました。
その感想を、少し書いておきます。
結果
できあがった「型」を使ってこの記事を設計してみた結果、書き始めで悩まなくなりました。
悩まなくてよくなった項目
- アイキャッチのテキスト
- タイトルの方向性
- リード文の内容
- 記事の書き始め
ただしこれが時短以外の成果につながるかどうか、まだわかりません。
WEBライティングであれば、検索順位を上げたりコンバージョンすることが求められます。そこは、もう少し検証が必要です。
本から何かを得たとしても「P-D-C-A」を最後まで実行しないと何も身に付きません。
課題
今回「型」を作ってみて「WEBライターとして実績をあげてる方々のライティングに、ちょっと近づけた」という実感があります。
ただし成果については検証が必要で、検証は「納品原稿では難しい」と感じます。自分でブログを運営してみてチェックする必要があるでしょう。
さらに、本の内容をWEBライティングに置き換える場合、以下はもう一工夫要りそうです。
- タイトルは、もう一工夫要る
- 最後まで読了してもらうには、もう一工夫要る
- そのテーマで検索順位を上げるには、もう一工夫要る
順番に、もう少し詳しく説明しますね。
タイトルは、もう一工夫要る
今回、論点を「タイトル」に置き換えました。
そこで、たとえば「はてぶ」の人気エントリーなどを確認してみたんですけど、論点がよくわからないタイトルもたくさんありました。
とくに目についたのは、以下の2つです。
- 要所を抜き出したようなタイトル(新聞記事の見出し風)
- 記事全体の要約をキャッチ―に表現したタイトル
こういうタイトルで人気の記事は、読者の興味をつかまえるのが上手いです。タイトルで「なんか、おもしろそう」と感じます。
さらに、ホットな話題や多数の人が興味ある話題に人気が集まってます。
論点をタイトルに表すときは、こういったこともふまえる必要がありそうです。
最後まで読了してもらうには、もう一工夫要る
「論点+意見+論拠」だけでは、最後まで読ませるには力不足を感じます。
熟練のWEBライターなら別ですが。初心者WEBライターは、スマホで読まれることを念頭に読みやすさの演出もやるべきです。
たとえば、以下のことにもこだわって「ライティングの型」を作っていきたいところです。
- 1文の文字数
- 1段落の文の数
- 文字の大きさ
- 行間の余白
- 段落間の余白
- テキストの修飾表現
- 効果的な図解や写真
- 言葉遣い(トンマナ)
さらに「7つの要件」のひとつ、根本思想も読了に影響します。
本によると「温かい人の文章からは温かさが伝わってくる」「うしろ向きな人の文章はうしろ向きな印象が伝わる」そうです。
依頼で執筆するときは、読者にネガティブな印象を与えるのはよくないです。気持ちを穏やかにして、執筆にのぞみたいところです。
そのテーマで検索順位を上げるには、もう一工夫要る
WEBコンテンツの検索順位は、相対的に決まります。ちゃんと機能を満たす文章が書けたとしても、競合の質がさらに良ければ順位は上がりません。
なので、検索上位サイトの内容を精査する必要があります。
競合コンテンツと比べて、少なくとも以下を満たしているか精査しておいた方がいいです。
- 情報に過不足ないか
- 独自の情報があるか
コンテンツは、必要な情報は全て書くつもりでライティングします。逆に、余分なことは書いてはいけません。
上位サイトと同じことしか書いてないコンテンツも、要りません。テーマや論点から、必要にもかかわらず上位サイトに不足している情報を入れるべきです。
と感じながらも、これが難しい。ですが、WEBライティングでは検索順位を上げることも必要な「機能」のひとつ。しっかり取り組みたいところです。
まとめ
山田ズーニーさんの『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』という本を読みました。WEBライティングの書き出しで役立つヒントが、いっぱい書かれていました。
この本を読めば、WEBライティングで役立つ書き始めの型を作れます。それも「何となく」ではなく、ちゃんと理解しながら体系的に作れます。
WEBライティングの報酬は文字単価が多いので、できるだけ無駄な時間は減らしたいところ。いつも書き出しで悩んでるなら、直ぐにこの本を読んでみることをオススメします。
改善が早ければ早いほど、たくさんの作業時間の節約につながりますよ。
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